【労働基準法㉓】第22条退職時等の証明【退職証明書が請求できます】

労働基準法

こちらの記事では主に社労士試験を受験される方に向けて労働基準法について解説していきます!

細かく学習範囲を分けて、詳しい解説や難しくない言い回しを心がけておりますので、
社労士試験を初めて受験される方にもおすすめです。

<こんな人が書いています>
  筆者の似顔絵。
絵は苦手です。
・4度目の挑戦で社労士試験に合格
・都内某所の社労士法人にて10社程の入退社等の手続きや相談を担当しておりました
・現在は社会保険労務士として開業してお仕事募集中です!(ホームページはこちら

今回は第22条退職時等の証明です!

前回の解雇と違ってそこまでイメージしやすいものではないかと思いますので、
趣旨や用途も添えながら解説していきます!

退職時等の証明

まずは条文です。

第二十二条
①労働者が、退職の場合において、使用期間業務の種類、その事業における地位賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
②労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
③前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

通信等の禁止というのが④にあるのですが、それは後ほど!

ポイント

まずそもそも退職の証明って何?ってところだと思います…

これは解雇の場合には、労使間でトラブルを防止するために使用者にちゃんと解雇の理由等を証明させたり
転職や再就職時には、新しい勤め先に対して①の項目にあるような経歴等の証明をするといったことに使います。

他には国民健康保険の加入に使ったり、健保組合によって扶養追加の添付書類として求められることがあります。
退職したことを確認した上で手続きをすることで二重加入が防止できます!

「退職の場合において」とありますが、
これは自己都合退職や懲戒解雇による退職の場合でも使用者は交付義務があります。

②については、解雇予告から退職日までに労働者から解雇の理由について証明書の請求があったら交付しましょうということです。

後半部分については解雇以外のことで退職したなら、それは自己都合退職であって解雇じゃないから理由について証明のしようがないよということです!

(解雇の予告についてはこちら…)

③は各項目を全て網羅する必要はなく、労働者が請求した項目だけで作成しましょうということです。

請求する権利については時効があり、退職日から2年となっております。

本条には上述した通り④もあるので見ていきましょう!

第二十二条

④使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍信条社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書秘密の記号を記入してはならない。

通信等の禁止といったりブラックリストの禁止ともいいます。

これは読んでそのままなのですが、通信というのは電話やメール、FAX等のことで、
再就職等を妨害するために「あらかじめ」情報交換をしてはいけませんよといったことです。

大事なのは「あらかじめ」ということで、事前に示し合わせたわけではなく、
前職が照会に対して個別に回答することは本条の違反になりません。

秘密の記号」というのは特定のどのようなものかという規定はありませんが、
退職証明書や解雇理由証明書に、例えば限られた人には分かるようなものを記してはいけません。

また禁止事項について、
国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する~」とあるように4つの事項が挙げられています。

これはいわゆる例示的に列挙されているわけではなく限定列挙といい、
上記4つの事項以外について通信をしても本条に抵触しないとされています。

ですが、秘密の記号については上記4つの事項に限らず禁止されています。

罰則は下記の通りです。
①~③については30万円以下の罰金、④は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

それでは最後に復習の条文です。

第二十二条
①労働者が、退職の場合において、使用期間業務の種類、その事業における地位賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
②労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
③証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
④使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍信条社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時等の証明書秘密の記号を記入してはならない。

(一部改変しております。)

ちょっと長いですが、理解が更に深まるかと思いますので頑張りましょう!

まとめ

第22条退職時等の証明

  • 退職(自己都合や懲戒解雇等の事由は問わず)の場合に、労働者が請求した事項について退職証明書を遅滞なく交付しなければならない
  • 証明書の請求権について時効は2年
  • あらかじめ第三者と示し合わせて国籍、信条、社会的身分、労働組合運動(限定列挙)について、通信(メールや電話等)をしてはならない
  • 退職時等の証明書に秘密の記号を記してはならない

このような感じで今回は終わります。

国保に入る時や転職する時など、退職証明書を求められたら本記事のことを思い出してみてください!

今回もお疲れ様でした!

ご意見、ご指摘等ございましたらお問い合わせよりいただけますようお願い申し上げます。

次回は第23条金品の返還について解説します。

また次回もよろしくお願いします!

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