こちらの記事では主に社労士試験を受験される方に向けて労働基準法について解説していきます!
細かく学習範囲を分けて、詳しい解説や難しくない言い回しを心がけておりますので、
社労士試験を初めて受験される方にもおすすめです。
<こんな人が書いています>

・4度目の挑戦で社労士試験に合格
・都内某所の社労士法人にて10社程の入退社等の手続きや相談を担当しておりました
・現在は社会保険労務士として開業してお仕事募集中です!(ホームページはこちら)
労働基準法解説の第11回目は第26条休業手当について解説していきます。
どのような時に支給されるのか等見ていきましょう!
休業手当

条文いきます!
第二十六条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
それでは読み解いていきましょう!
ポイント
簡単に言い換えると、
使用者の責に帰すべき事由(使用者の事情のようなもの)で労働者が休んでいる間の生活を、
使用者が平均賃金の100分の60以上の手当を支払って保障することが義務付けられているといったところです。
上記にある「平均賃金」って何ぞやとなるかと思いますが、ここでは計算式に触れておきます。
というのも…解説しておきたい事項が多いので次回に独立した記事で書かせていただきます。
計算式は下記画像の通りです!

イメージのためにまた簡単にいうと、
3か月分の賃金総額を1日分にしたものが平均賃金で、使用者は生活保障としてその60%以上を出しましょうということです!
それではどのような場合が使用者の責に帰すべき理由となるのか見ていきたいと思います。
<使用者の責に帰すべき事由に該当する>
①経営難による休業(資金不足、資材不足、不況によるもの等)
②予告をせずに解雇した場合の予告期間中の休業
③内定者への自宅待機
①のような経営難については使用者の事情なんだなとピンと来るかと思います。
②は、これもまた別の記事で解説しますが労基法には「解雇予告」というものがあります。
使用者は解雇しようとする労働者に30日前の予告が必要で、
30日前に予告をしない場合は30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないといったものです。
その解雇予告をせずに解雇した場合ということです。
例えば、会社が「明日から来なくていい」と、解雇予告手当を支払わずに即日解雇を告げた場合は、
即日解雇の効力はありませんが、解雇の予告をしたということになり30日経過後に解雇の効力が生じます。
そのような状況において労働者が自主的に休んだ場合でも、
使用者の責に帰すべき事由で休業したということになります。
③は、内定者に対して急な経営不振等で出勤させず待機させているといったものです。
これについては入社日から会社の都合で自宅待機をさせているということで、
休業手当を支払うということになっています。
次に使用者の責に帰すべき事由に該当しないものの具体例です!
<使用者の責に帰すべき事由に該当しない>
①天災事変等の不可抗力による休業
②労働安全衛生法の規定による健康診断結果に基づいた休業
③社会通念上正当性があるロックアウト
④代休付与命令による休業
①は地震等の災害は使用者としてはどうしようもできないものなので…といったものです。
②はその健診結果によって医師の証明によって休業を命じた場合です。
なので、労働の意思はあるのに使用者の独断で休みなさいといった場合は休業手当を支払う必要があります。(安全配慮義務など考慮すべきことがあるので一概には言えませんが…)
③ですが、ロックアウトというのは作業所閉鎖や事業所閉鎖といった意味で、
労働者のストライキに対して使用者側の対抗手段となります。
しかし、ロックアウトする場合に使用者の責に帰すべき事由として該当してしまうケースがあります。
ストライキが一部の事業所でしか行われていないのに、全ての事業所を閉鎖した場合には、
上記一部の事業所以外の残りの労働者に対する賃金の支払い義務が発生します。
④は労基法第33条が根拠となって行政官庁が代休の取得を命じることができるのですが、
その場合に休ませた場合となります。
第33条や代休についてもまた別の記事で説明させていただきますので、
今回は具体例としてこんなものがあるんだということでよろしくお願いします!
以上いくつかの具体例で使用者の責に帰すべき事由かどうかを見ていきましたが、派遣労働者の場合はどうなるでしょうか。
派遣元か派遣先のどちらの使用者に、使用者の責に帰すべき事由があるかどうかですが、
これについては派遣元について判断がなされることになります。
例えば派遣先が、地震等の不可抗力によって操業できないとします。
その場合は、派遣先で直接雇用されている労働者(派遣先の社員)については、
上述したように派遣先は不可抗力によるものですので休業手当を支払う必要はありません。
派遣先にいる派遣労働者については、同様に就業させることができない状況ですが、
この場合は派遣先に対して使用者の責に帰すべき事由は問われません。
派遣労働者の場合は、
派遣元の使用者がその派遣労働者を他の事業場に派遣する可能性(他に働けるところがあるか探す)等を含めて、
派遣元の「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断されることになるといったところです。
それではまた話は変わりまして、
一部を休業した場合やその日の労働時間がたまたま短かった日の場合はどうなるでしょうか。
まず、一部を休業した場合ですが、
実際に労働した時間に対する賃金が平均賃金の6割に満たないときは、その差額以上の休業手当を支払うとしています。
例)平均賃金:8,000円(1時間あたりの単価1,000円)、1日の労働時間:8時間、休業:4時間
労働時間である8時間のうち4時間が休業で、労働時間は4時間のため4,000円の賃金が発生
しかし本来の休業手当は最低4,800円(平均賃金8,000円×100分の60)であるため、
差額である800円(休業手当4,800円−賃金4,000円)以上の支払いが必要
次に、その日の労働時間がたまたま短かった日というのは、
例えば平日は8時間労働で土曜日は午前中だけで4時間労働の会社があったとします。
そこで土曜日が休業手当の対象になったとしても、
平均賃金の6割以上を支払わなければならないとしてします。
例)平均賃金:7,000円、平日の労働時間:8時間、土曜日の労働時間:4時間
休業手当は最低4,200円(平均賃金7,000円×100分の60)となる
平日の場合は当然に4,200円が支払われ、平日と比べて労働時間が短い土曜日ではあるが、
休業手当は平日と同様4,200円の支払いが必要
このような感じになります!
それでは復習の条文どうぞ。
第二十六条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
結構細かかったかもしれません!まとめへ…
まとめ

第26条休業手当
- 使用者の責に帰すべき事由に該当するかどうか具体例を覚えておく
- 1日の一部を休業した場合や、休業した日が労働時間が短かった場合の休業手当の額に注意する
使用者の方からすると、休業手当を支給すべきか判断が難しいケースもあるかもしれません…
休業手当は生活保障といった意味合いもあるので労使でトラブルにならないよう運用したいところです!
今回もお疲れ様でした!
ご意見、ご指摘等ございましたらお問い合わせよりいただけますようお願い申し上げます。
次回は、第27条出来高払制の保障給、今回ちょっとだけ触れた第12条平均賃金について詳しく解説していきたいと思います!
また次回もよろしくお願いします!

