【労働基準法㉑】第20条解雇予告【解雇予告手当とは?】

労働基準法

こちらの記事では主に社労士試験を受験される方に向けて労働基準法について解説していきます!

細かく学習範囲を分けて、詳しい解説や難しくない言い回しを心がけておりますので、
社労士試験を初めて受験される方にもおすすめです。

<こんな人が書いています>
  筆者の似顔絵。
絵は苦手です。
・4度目の挑戦で社労士試験に合格
・都内某所の社労士法人にて10社程の入退社等の手続きや相談を担当しておりました
・現在は社会保険労務士として開業してお仕事募集中です!(ホームページはこちら

今回は第20条解雇予告についてです。

解雇予告手当についても解説しますので見ていきましょう!

解雇予告

まずは条文。

第二十条
①使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
②前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

いきなりボリューミーですが、一つずつ見ていきましょう!

ポイント

本条にある解雇の予告というのは、解雇をすると労働者が路頭に迷ってしまうかもしれないので、
次の就職先を見つける等少なくとも30日間で何とか…といった趣旨です。

この30日というのは暦日ですので土日も含みます!

これが「解雇予告」です。

そこで上記内容に続いている部分で、
もし時間的な保障ができない場合は30日分の平均賃金という金銭での保障もできますよといったことです。

この金銭での保障が「解雇予告手当」といいます。

解雇予告手当」の計算方法に役立つ平均賃金の求め方についてはこちらの記事で復習ができます!

そして解雇予告と解雇予告手当については条文②の通り併用することができます。

例えば1月31日に解雇したい場合は、1月1日には解雇予告をする必要があります。

しかし、10日分の平均賃金を支払うことにより、本条に定められた30日の期間を短縮でき、
1月31日の20日前である1月11日に解雇予告をすることで1月31日に解雇することができます。

実際の解雇するには「客観的に合理的」、「社会通念上相当」といったような様々な事情を考慮する必要があり、
解雇予告や解雇予告手当といった手順を踏めさえすれば解雇ができるというわけではないので注意です!

いくつかここから事例を…

もし解雇の予告をした後に、解雇予定日を過ぎて労働者を使用した場合はどうなるでしょうか?

これは従前と同一の条件で労働契約がなされたものと取り扱われ、当初の解雇予告は無効となります。

なのでまた解雇しようとする時は改めて解雇予告等の手続きが必要になります。

それでは解雇予告を使用者が取り消してほしいとなった場合はどうでしょうか?

これについては一般的には取り消すことはできません。

しかし、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には取り消すことができます。

もし労働者が取り消しについて同意しなかった場合は予告期間の満了をもって解雇ということなるので、
解雇の予告を取り消したい(退職してほしくない)という使用者からの要望に応じなかったからといって自己都合退職になるわけではありません。

それでは応用で…

解雇予告期間に解雇制限の事由に該当している状態のまま解雇予告期間が満了した場合はどうなるでしょうか?

これについては解雇制限が優先されて、制限期間中の解雇はできません。

そして休業期間が長期にわたるものでない限り、
解雇予告の効力が発生するのが中止されているだけなので改めて解雇予告をする必要はないとされています。

(解雇制限についてはこちら…)

それでは最後の事例です…

もし解雇予告や解雇予告手当といった手続きを無視して、即時解雇を言い渡した場合はどうなるでしょうか?

通達や最高裁判例では即時解雇としては無効であるとしています。

ですが、使用者に解雇する意思があり、必ずしも即時解雇に固執していないといった場合は、
その即時解雇の通知は30日経過後または通知後に予告手当の支払いがあったときから解雇の効力があるとしています。

即時解雇の言い渡しは解雇予告と同様の効力があるといったところです!

解雇予告というのは非常に大事なものということが分かったかと思いますが、解雇予告の規定が適用されない場合があります。

それが前述した条文①の後半の部分です。

改めて書くと…

・天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合
・労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合

この2点で例えば天災等で会社が営業できなくなったとか、労働者が社内で窃盗や傷害等をした場合です。

そして、それらに該当するかは条文③にあるように解雇制限の解除と同様に労基署長の認定を受けなければいけません。

もし認定を受けなかった場合でも、客観的に認定事由があれば上記のような事情による即時解雇は有効とされます。

ですが…本条違反となることは免れることはできないので注意です。

罰則は下記の通りです。
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

もし即時解雇の意思表示をした後に、上記のような状況になり解雇予告について適用されない認定を受けた場合、
解雇の効力としては認定を受けた日ではなく即時解雇の意思表示をした日に遡って発生します!

それでは復習の条文を…

第二十条
①使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
②前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③解雇予告の除外については、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

(③は分かりやすいよう改変しております)

まとめ

第20条解雇予告

  • 解雇前に少なくとも30日前に予告をするか30日分以上の平均賃金を支払わなければならない
  • 解雇予告と解雇予告手当は併用できる(20日分の平均賃金を支払えば10日前の解雇予告が可)
  • 解雇予告にまつわる事例に注意する(解雇予告日を過ぎてしまった、取り消したい、解雇制限との兼ね合い、即時解雇を通知した場合等…)
  • 天災事変等での事業継続が不可能、労働者の責めに帰すべき事由による解雇は認定を受けることで解雇予告の規定は除外される

ちなみに解雇予告手当というのは労働者が請求できるものではありません。

というのも…

解雇予告手当の意義としては、
それを支払うことにより使用者がしなければならない解雇予告の義務を免除するに止まるものであるといったところです…

今回もお疲れ様でした!

ご意見、ご指摘等ございましたらお問い合わせよりいただけますようお願い申し上げます。

次回は第21条解雇予告の適用除外について解説します。
(一定の方にはそもそも解雇予告は適用されないといったようなことです。)

また次回もよろしくお願いします!

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