こちらの記事では主に社労士試験を受験される方に向けて労働基準法について解説していきます!
細かく学習範囲を分けて、詳しい解説や難しくない言い回しを心がけておりますので、
社労士試験を初めて受験される方にもおすすめです。
<こんな人が書いています>

・4度目の挑戦で社労士試験に合格
・都内某所の社労士法人にて10社程の入退社等の手続きや相談を担当しておりました
・現在は社会保険労務士として開業してお仕事募集中です!(ホームページはこちら)
今回は第17条前借金相殺の禁止です。
それでは頑張ってまいりましょう!
前借金相殺の禁止

条文はこちらです。
第十七条
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
聞き慣れない言葉がいくつかあるかもしれません。
ポイント
まず「前借金」というのは、労働することを条件として労働者に前もって貸し付けておく金銭のことです。
その前借金等(≒前貸の債権)と労働者の賃金を使用者側から相殺してはいけませんということです。
なので労働者が使用者からの信用に基づいて受ける融資であったり、
明らかに身分的拘束を伴わないものや、労働契約に密接に関係しないようなものは上記のような前貸の債権には当たりません。
また「相殺」について労使協定等の一定のフローは必要ですが、
労働者側の意思をもって相殺することについては禁止されていません。
身分拘束に繋がるかどうかといったところも重要なポイントかと思います。
以前に解説した「強制労働の禁止」に一例として前借金相殺を前提とした労働契約が出てきましたね!
復習がてらお読みいただけますと幸いです。
そしてそして…
「相殺」のところでピンと来た方がいらっしゃるかもしれませんが、
過去に解説したもので、もう一つ本条と関連するものとして「賃金全額払いの原則」がありました。
こちらについても併せてご確認ください!
それでは、これまで見てきたものを踏まえて、生活資金の貸付についてはどうなるでしょうか?
これについては、使用者が貸付金を賃金から控除する場合において総合的に判断して、
労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には本条は適用されません。
改めて…自己の意思や身分拘束になるかどうかというのが重要ということが分かりますね!
罰則は下記の通りです。
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
復習の条文です!
第十七条
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
まとめ

第17条前借金相殺の禁止
- 原則、前借金と賃金の相殺はしてはならない
- 労働者側の意思で相殺することは禁止されていない
- 身分的拘束を伴わない融資等は前貸の債権には当たらない
短かったですが、関連する他の条文がいくつかありましたね。
復習は大変かもしれませんが社労士試験は忘却との戦いと言われたりもしますので、
定期的に反復して忘れ切ってしまうのを防ぎましょう!
今回もお疲れ様でした。
ご意見、ご指摘等ございましたらお問い合わせよりいただけますようお願い申し上げます。
次回は第18条強制貯金の禁止について解説します。
扱うテーマ上、そこそこ長くなってしまう予定ですので一緒に頑張ってまいりましょうね!
また次回もよろしくお願いします。



