【労働基準法㉜】(制度編)高度プロフェッショナル制度の対象者への適用除外【高プロ】

握手 労働基準法

こちらの記事では主に社労士試験を受験される方に向けて労働基準法について解説していきます!

細かく学習範囲を分けて、詳しい解説や難しくない言い回しを心がけておりますので、
社労士試験を初めて受験される方にもおすすめです。

<こんな人が書いています>
  筆者の似顔絵。
絵は苦手です。
・4度目の挑戦で社労士試験に合格
・都内某所の社労士法人にて10社程の入退社等の手続きや相談を担当しておりました
・現在は社会保険労務士として開業してお仕事募集中です!(ホームページはこちら

今回は、前回に引き続いて第41条の2高度プロフェッショナル制度(高プロ)についてです。

前回は高プロを採用する際に必要となる労使委員会について解説しました。

今回は制度の内容について触れていきます!

高度プロフェッショナル制度

前回も載せましたが、今回も条文から…

第四十一条の二
労使委員会が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下この項において「対象労働者」という。)であつて書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、この章で定める労働時間休憩休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。ただし、第三号から第五号までに規定する措置のいずれかを使用者が講じていない場合は、この限りでない。

(改変と省略をしています)

「~」部分は労使委員会で決議すべき事項や労使委員会について書いてあります。

今回は決議すべき事項についての解説ですね!

ポイント

以前取り扱った法41条のいわゆる残業代を支払う必要がない人たちには深夜の割増賃金の適用がありますが、
条文にもあるように今回の高プロ制度では深夜の割増賃金の支払いをする必要はありません。

法41条の方についてはこちら

それでは決議事項を見ていきますが、結構な量があるので一緒に頑張っていきましょう!

①対象となる業務

高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務
(その業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものを除きます。)

とされており、具体的には…

  • 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  • 資産運用の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務等
  • 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
  • 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
  • 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

更に分かりやすく、職種としてはアナリストコンサルタント研究者等が該当すると考えられます。

医師は高プロの対象にならないと思われます!
高プロは良くも悪くも時間に縛られないような制度で、医師は診療時間等を自分で決められないので対象外ということになります。
ですが医師の中でも、研究開発の業務を行っている研究医等は対象になるようです。

②対象労働者の範囲

この項の規定により労働する期間において下記A、Bいずれにも該当する労働者であつて、対象業務に就かせようとするものの範囲

A:使用者との間の下記の方法による合意に基づき職務が明確に定められていること

業務の内容責任の程度求められる成果・水準について、
使用者が明記した書面に対象労働者の署名を受け、その書面の交付を受ける方法
(対象労働者が希望した場合にあたっては、上記書面に記載すべき事項を記録したメール等の提供を受ける方法)

B:使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が、
基準年間平均給与額(毎月勤労統計における毎月の給与額を1月分~12月分で合計した額)の、
3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること(1,075万円以上

簡単にまとめてみると…

(A)業務や成果等について、書面やメール等を用いて労使で合意をした上で職務が明確に定められており、
(B)1,075万円以上の給与を支払われているような労働者で、
①の対象業務に就かせようとする人たちの範囲を決めましょうといったところです。

③健康管理時間の把握措置

対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(労使委員会で休憩時間その他労働していない時間を除くことを決議したときは、その時間を除く)と、事業場外において労働した時間との合計の時間(以下「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

職場にいる時間や外出して労働した時間との合計時間を、高プロ制度では「健康管理時間」といいます。

健康管理時間≒労働時間といったイメージです!

「厚生労働省で定める方法に限る」とありますが具体的には、
タイムカードやパソコンの使用時間の記録等の客観的な方法とされています。

ちなみに…
健康管理時間の把握は客観的な方法で…とありますが、
事業場外において労働した場合であってやむを得ない理由があるときは自己申告によることができるともしております。

上記のような健康管理時間をタイムカード等の一定の方法で把握するような措置を決議して、
使用者はその措置を講じなければなりませんということです。

④休日確保措置

対象業務に従事する対象労働者に対し、1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が与えること。

1年間に104日以上、かつ、4週4休以上の休日を与えましょうということです。

4週4休についてはこちら…

⑤選択的措置

対象業務に従事する対象労働者に対し、下記のいずれかに該当する措置を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。

その選べる措置がこちら…

1.労働者ごとに始業から24時間を経過するまでに11時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、深夜(原則午後10時~午前5時)に労働させる回数を1か月について4回以内とすること

2.健康管理時間1週間あたり40時間を超えた場合に、その超過時間が1か月あたり100時間または3か月あたり240時間を超えない範囲内とすること

3.1年に1回以上の継続した2週間(労働者が請求した場合においては、1年に2回以上の継続した1週間)について、休日を与えること。
(使用者がその期間において法定による有給休暇を与えたときはその日を除く。)

4.健康管理時間1週間あたり40時間を超えた場合に、その超過時間が1か月あたり80時間を超えた労働者または申出をした労働者健康診断を実施すること。
(健康診断は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目で、脳・心臓疾患との関連が認められるもの及び労働者の勤務の状況、疲労の蓄積の状況その他心身の状況の確認の項目を含むものに限る)

1.勤務間インターバルといわれているようなものや、2.残業規制のようなもの、
3.法定の有給休暇以外でお休みを付与する、4.残業が多めな方や申出をした方へ健康診断を実施する

上記4つの中から選んで決議して就業規則に定めて講じましょうということです!

⑥健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置

対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間の状況に応じた当該対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置であつて、当該対象労働者に対する有給休暇(法定の有給休暇を除く。)の付与、健康診断の実施その他の措置のうち当該決議で定めるものを使用者が講ずること。

これは上記⑤で決めた以外のものや、他の例としては法定外での有給休暇、配置の転換等を決議、実施してくださいということです。

⑦本人同意の撤回に関する手続

対象労働者の本人同意の撤回に関する手続

読んでそのままなのですが、同意の撤回方法について具体的なことを明記する必要があるということです。

⑧苦情処理措置

対象業務に従事する対象労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

労働者からの苦情の処理に関する措置を実施することと、その具体的な内容を決議しなければなりません。

⑨不利益取扱いの禁止

使用者は、同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。

これも読んで字のごとく…同意しなかったからといって酷い扱いをしないでねといったところです。

⑩その他厚生労働省で定める事項

  • 決議の有効期間、その決議は再度の決議をしない限り更新されない
  • 労使委員会の開催頻度開催時期
  • 常時50人未満の労働者を使用する事業場である場合、一定の知識を有する医師を選任する
  • 使用者は一定の対象労働者ごとの記録等を決議の有効期間中や有効期間の満了後、原則5年間(当面の間3年間)保存すること

以上①~⑩の決議事項がありまして、③~⑥について決議するだけでは足らず、
いずれかを使用者が講じていない場合は高プロ制度は採用できません。

また、③の健康管理時間の状況や④~⑥の措置の実施状況を決議の有効期間の始期から起算して、
6か月以内ごとに労基署長に報告
をしなければいけません。

10項目駆け抜けましたね…
お付き合いいただきありがとうございます。

復習の条文です。

第四十一条の二
労使委員会が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下この項において「対象労働者」という。)であつて書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、この章で定める労働時間休憩休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。ただし、第三号から第五号までに規定する措置のいずれかを使用者が講じていない場合は、この限りでない。

ちなみに高プロを採用されている事業場は30程だそうです。

まとめ

第41条の2高度プロフェッショナル制度

  • 高度プロフェッショナル制度では深夜の割増賃金の支払いは必要ない(管理監督者等との混同を注意)
  • ①~⑩の決議事項を確認しておく(主に①対象業務、②対象労働者の範囲、③~⑥の時間、休日、残業、連休、健診等の実施等)
  • ③~⑥には労基署長へ6か月以内ごとに状況を届出する必要がある

久しぶりに結構なボリュームでしたね!

大変お疲れ様でした。

ご意見、ご指摘等ございましたらお問い合わせよりいただけましたら幸いです。

次回は労基法でつまづきがちな変形労働時間制に入りまして、
第32条の2一か月単位の変形労働時間制について解説していきたいと思います。

また次回もよろしくお願いします!

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