こちらの記事では主に社労士試験を受験される方に向けて労働基準法について解説していきます!
細かく学習範囲を分けて、詳しい解説や難しくない言い回しを心がけておりますので、
社労士試験を初めて受験される方にもおすすめです。
<こんな人が書いています>

・4度目の挑戦で社労士試験に合格
・都内某所の社労士法人にて10社程の入退社等の手続きや相談を担当しておりました
・現在は社会保険労務士として開業してお仕事募集中です!(ホームページはこちら)
今回は労働基準法解説の第2回目で第3条均等待遇になります。
判例も添えて解説していくので何卒お付き合いのほどよろしくお願いします!
なお、今回は労働基準法における均等待遇で、
実務的に話題になりがちな均等待遇と均衡待遇の違い等については、
またの機会にパートタイム・有期雇用労働法の記事で書いていきたいと思います!
均等待遇

条文いきます!
第三条
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
ポイント
条文の解説から!
まず「国籍」については読んで字のごとくですが、
特定の国は当然のこと二重国籍や無国籍の方に対する差別も許されておりません。
「信条」というのは特定の宗教的又は政治的な信念のことで、
それがあるからといって差別的な扱いをすることは禁止されております。
しかし、そのことで他者を勧誘したり等で会社に迷惑をかけてしまった場合に、
例えば会社が何らかの処分を下した時は本条の違反とはなりません。
そして「社会的身分」というのは生来的な地位のことで、
出身地や人種による労働条件の差別は許されません。
しかし正社員とアルバイトなど職制上の地位が違う場合は「社会的身分」ではないので、
ここで待遇の差があることは本条の違反にはなりません。
因みに本条では上記3つを理由にした差別的取扱いを禁止しておりますが、
これについては例示的(例えば~の文脈)ではなく限定的(3つに特定)に列挙されたものです。
因みに「性別」を理由とした差別的取扱いは、
次の記事で解説する労働基準法第4条では賃金について、それ以外の労働条件については男女雇用機会均等法でそれぞれ禁止されています!
そして、その他の労働条件とは職場における労働者の全ての待遇のことで、
条文中に具体的に記載がある賃金や労働時間の他に解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含まれます。
しかし採用については上記の労働条件には含まれません。
これに関連して有名な判例があるので次に解説します!
判例 三菱樹脂事件
まず事件の概要です!
Aさんは三菱樹脂株式会社に、管理職候補として一定の条件下で採用されることになった。
その内容については、採用の可否を決定する際においてはAさんの管理職要員としての適格性を十分に見ることができないという観点から、3か月の試用期間を経た後に雇用契約を解除することができる権利を留保するという条件(解約権留保付の雇用契約)であった。
Aさんは大学在学中に学生運動に参加していた事実があったが、採用試験中それについて尋ねられた際には否定した。
しかし後に会社側の調査により学生運動参加の事実が発覚し、試用期間満了に際してAさんの本採用を拒否したことで、Aさんが雇用契約上の地位を確認する訴えを起こした。
結果は、第一審と第二審ではAさんの訴えを認めましたが、
会社側が上告し最高裁においては一転して審理が差し戻されました。
最高裁で一転したポイントは上述したように、
「採用については労働条件に含まれない」と
ということです!
これについて判決を見ると、
第3条は雇入れた後の制限の話であって雇入れそのものを制約する規定ではないとしています。
そして、試用期間ということも重要になってきます。
試用期間の法的な性質について、
「留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきものといわなければならない。」
としています。
これは、試用期間というのは「解雇する権利を保留できる雇用契約」でそれに基づいた解雇なので、
本採用後の解雇よりも広い範囲の理由で許されるものといったところでしょうか。
しかし試用期間だからといって解雇し放題というわけではないので注意です!
「客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解するのが相当である。」
としていますので、例えば、新卒の方の能力不足を理由として即解雇というのは不当解雇となる可能性があります。
この判例は社労士試験でも取り扱われたこともあるので条文と一緒に理解しておくといいかと思います!
因みに第3条の違反については下記の通り罰則があります。
「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」
ということで復習の条文です。
第三条
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
最後に念のため補足ですが、
不利に取り扱うだけでなく有利に取り扱うことも禁止されておりますので覚えておきましょう!
それではまとめへ…
まとめ

第3条均等待遇
- 第3条で禁止している国籍、信条、社会的身分の3つの理由は例示的ではなく限定的に列挙している(性別については第四条で規定)
- 労働条件は職場における労働者の全ての待遇のことで雇い入れ(採用)については含まれない
- 三菱樹脂事件のポイントは、本条において採用については含まれなかったこと、試用期間が解約権留保付の雇用契約とされたこと
今回は判例も添えて第3条の均等待遇を解説しました。
労働基準法の勉強ではいくつか有名な判例が出てきますので、
これからもなるべく分かりやすいよう書いていきたいと思います!
ご意見、ご指摘等ございましたらお問い合わせよりいただけますようお願い申し上げます。
次回は労働基準法第4条男女同一賃金の原則について解説していきたいと思います。
また次回もよろしくお願いします!

